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星描く「自由な発想」

知的障害持つデザイナー AKIさんが絵本出版

AKIさんの描いた絵(「ふしぎな星」から)
 音楽ライブのステージで、一人黙々と絵を描く。世田谷区在住で、知的障害を持つ“AKI”こと木下明幸さん(19)は「ライブペインティング」を得意とする若手デザイナーだ。ミュージシャンとの共演回数は200回を超えた。そんなAKIさんが今月下旬、絵本「ふしぎな星」を出版する。架空の星を描いた素朴な絵には「地球を大切にしたい」という思いが込められており、16、17日には同区内で出版を記念したライブの舞台に立つ。

 AKIさんは幼いころ、なかなか言葉を話せなかったが、親から紙と鉛筆を渡されると、夢中になって絵を描いた。小学生になると、障害者を対象にした絵画展で入選するようになった。父親の昭さん(46)は「息子が障害者であることをなかなか受け入れられなかった」といい、小学校4年までは普通学級に通わせた。その後も「できるだけ普通に育てたい」と考えて地元の中学に通わせた。都立養護学校高等科に進んだ後、一般の絵画展に出品させたところ、入選を果たし、16歳の時には個展を開くまでになった。

 絵のおかげで様々な人との交流が広がり、無口だったAKIさんが、ある程度の会話をできるようになった。

 2年ほど前、知人の紹介で元子供バンドの湯川トーベンさんと知り合い、ライブハウスの湯川さんらのステージで絵を描く「ライブペインティング」を始め、以来、100人余のミュージシャンと共演した。

 絵本「ふしぎな星」は、AKIさんがアクリル絵の具を使い、自宅で描いた作品だ。架空の星「ベトン星」の誕生から生物の進化の過程を、15枚の絵で表現。花のような鶏や毛虫のような羊など、想像上の生き物を数多く登場させ、人間の肌は緑色で描いている。星の名は、AKIさんが「大切な人」と言う湯川トーベンさんの名から取った。

 AKIさんと交流がある米米クラブの石井竜也さんは出版にあたり、「『自由な発想』という言葉を僕達は安易に使いすぎる。AKI君の発想は、この言葉のある意味『答』かもしれない」との推薦文を寄せている。

 16、17日の記念ライブでAKIさんは、湯川トーベンさんら多数のミュージシャンと共演し、ライブペインティングを行う。会場は北沢タウンホール(世田谷区北沢2)。入場料2000円。問い合わせは福祉作業所ライフステージ((電)03・3325・8995、(電)090・8171・9799)。

2006年9月15日   読売新聞)